埋蔵文化財部門 金属製品遺物の保存

出土した金属製遺物は、そのまま放置しておきますと、さびが進行し、やがて遺物の原形を損ないます。こうした遺物は、さびの基となる成分を除去し、さらにさびが進行しないように合成樹脂をしみこませて封じ込んでしまうのが一般です。保存処理に先立っては、不要なさびや遺物表面の付着物をクリーニングいたします。
さびの基になる塩化物イオンを除去するための脱塩処理装置、減圧状態で合成樹脂をしみこませる減圧含浸装置、クリーニングするための各種装置を取り揃えています。

樹脂減圧含浸装置による保存処理

樹脂減圧含浸装置による保存処理のフロー図

1.事前調査
いきなり化学処理をするのは避けよう。じっくり保存状態を観察することから始めます。
2.埋蔵環境とさび
通常の遺物はさびで覆われている。しかし、そのさびが保存処理の方法を語ってくれます。
3.材質調査
研究をするにも、まずその材質を知ることから始めます。鉄か、銅か、合金かなど。
4.構造調査
さびで隠れて見えないところをのぞき込む。ラジオグラフィーの適用は当然のこと。
5.クリーニング
不要な泥やさびを取り除く、ペンチ、ニッパー、カッターナイフ、小型のグラインダーなど。
6.脱塩処理
さびの素は塩類。アルカリ溶液に漬ける方法が簡便。ほかに、熱湯で塩類の抽出など。
7.完全乾燥
樹脂をしみこませる前に、完全に乾燥すること。熱風乾燥機が安全で効果的・能率的。
8.樹脂含浸
減圧方式で目いっぱいの樹脂含浸。遺物を強化、同時に表面を被覆して外気から遮断。
9.接合
折れた刀は最小限度の接合を。接着剤には再溶解できる熱可塑性のものを使用。
10.整形
遺物本来の形がわかりにくいとき、接合面が小さく充分な強度が期待できないとき最小限の復元的成形を。

小型減圧用デシケーター 標準型の商品写真 小型減圧用デシケーター 横長型の商品写真 樹脂減圧含浸装置の商品写真 エアーブレイシブの商品写真 精密電動工具の商品写真

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